新生讃美歌14「心込めて主をたたえ」
この賛美歌は、1976年、フランス人クロード・フレッセ(1941〜2012)とアラン・ベルジェーズ(?)によって作られた。歌詞は詩編9編に基づいている。
クロード・フレッセは、ベルサイユの生まれで音楽教師であった。後に、福音歌手・改革派の牧師となるフレッセは、1960年代に、サックス、アコーディオン、フルート奏者、また歌手として活動し、1970年代になると、ローマ音楽院でトロンボーンとチューバを教えるようになる。
アラン・ベルジェーズは、この音楽院でクラシックギターを教えており、フレッセは、フランス改革派教会の信徒であったベルジェーズの影響を受け、31歳の時キリストに出会った。
「心込めて主をたたえ」は、フランスのフレシニエール渓谷にある小さな美しい村:ドルミルーズで作曲された。ベルジェーズに誘われ、この村で開かれたユースキャンプに参加したフレッセは、あるプログラム中に、今まで自分が作ってきた音楽作品は、流行を模倣しているだけであり個性と深みに欠けていることに気づき、どうしたら美しさ、信仰、そして神をしっかり捉えた歌を作れるだろうかと考え始める。その求めの中、詩編9編2〜3節「わたしは心を尽くして主に感謝をささげ/驚くべき御業をすべて語り伝えよう/いと高き神よ/わたしは喜び/誇り/御名をほめ歌おう」に出会い、ここからインスピレーションを受け「心込めて主をたたえ」を作り上げた。
作られた当初、歌詞は詩編9:2〜3に基づいた1節のみであったが、1988年にイブ・ケラーによって2〜5節が作られた。世界への視野、貧しい者、弱い者の賛美が加わり、5節の三一神への賛美で締めくくられる。
このユースキャンプで「心込めて主をたたえ」が初めて歌われて以来、ベルジェーズによってハーモニーを付けられたこの賛美歌は、様々な言語に翻訳され歌われている。フレッセは、1993年に改革派の牧師になり、フランスのプロテスタント賛美歌集「Arc-en-ciel」「Hallelujah」の完成に貢献した。ベルジェーズは、賛美歌と聖歌の刷新を推進し、フレッセと同じく賛美歌集「Arc-en-ciel」に貢献。彼の協力を得て、数多くの賛美歌を作曲した。
歌詞:1節 ルイ・スゴン (1810〜1885)
スイスの神学者。フランス語版聖書(ルイ・スゴン版)の翻訳者として知られる。
2〜5節 イブ・ケラー (1939〜2018) アルザス・ロレーヌのアウクスブルク信仰告白教会(ECAAL)/アルザス・ロレーヌのプロテスタント教会連合の牧師
時代背景:1970年代フランスは、経済の停滞と社会問題の深刻化、そして国際的な情勢の変化の中で新しい社会意識と文化が芽生える時代であった。
オイルショックにより経済が鈍化し、失業率は上昇。ベトナム戦争は学生運動の拡大の一端となった。特に1960年代後半からアメリカで生まれ世界的に広がったヒッピー文化は、独自の形をとってフランス国内で広がっていき、反体制的思想、自然回帰を求める流れで若者の間で発展していった。音楽でメッセージを伝える彼らのスタイルは共感を呼び、ロック・フォーク・ブルースなど様々なジャンルが人気を集めた。そのほか、マリファナや長髪・ジーンズといったファッションなど、70年代のフランスの社会や文化に一定の影響を与えていった。
持山優子(相模中央キリスト教会員)
参考資料:
Rogards prodestants “Je louerai l’Eternel”
ENSEMBLE PRESSE REGIONALE PROTESTANTE SUD-OUET “Je louerai l’Eternel (ARC151)“
JEM EDITIONS “Bergese Alain“
Chants PROTESTANTS.com “JE LOUERAI L’ETERNEL DE TOUT MON COEUR”
Louis Segond, Yves Keler (Wikipedia)
Claud Fraysse (Hymnary org.)