キリストの十字架以外に、誇とするものはない 新生讃美歌235番「栄えの主イエスの」

新生讃美歌235「栄えの主イエスの」
Isaac Watts (1644-1748)

神学書や哲学書の他に、約600もの讃美歌を書き、その代表作として、マシュー・アーノルドから「英語讃美歌の中で最も美しいもの」と賞賛されたのがこの歌です。彼はまた、「英語讃美歌の父」とも呼ばれています。それは、当時の英国では、1562年に出版された150曲の『詩篇歌集』が用いられていたのですが、ある主日、帰宅したアイザックは、その日の礼拝で歌われた詩篇歌があまりにも冗長で、テンポも遅く、「神を賛美する歌は天国まで届く礼拝の一部なのに、私達の賛美は地上においてさえ貧弱である」と激怒しました。それを聞いた父が、「では自分で作っては」と勧めました。そして生まれたのが「見よ小羊の栄光を」(Behold the Glories of the Lamb)です。1696年、彼22才の時でした。それから彼の讃美歌創作活動が始まりました。彼の詩はバラッド形式の4節で、コモンミーター(8.6.8.6.)が多く、歌いやすく覚えやすい韻律なので、会衆賛美が充実し、また盛んになって行ったのです。

英国サザンプトン生まれの彼は、天才の誉れ高く、幼児からラテン語、ギリシャ語を学び、6才でグラマースクールに入ってからは詩も書き始めます。11才でフランス語、14才でヘブル語を修得。知性も霊性も早熟で、自分の罪深さを感じてキリストを受け入れたのも14才であったと自ら記しています。

歌詞はガラテヤ6:14の「・・・キリストの十字架以外に、誇とするものは、断じてあってはならない」に由来しています。彼の讃美歌が時代や教派を超えて愛唱されるのは、内容の普遍性と聖書的かつ啓示的で、救いの確かさと神性の賛美の豊かさにありますが、伝記作者トマス・ライトが「魂の深みにおける経験 — 密室の祈りにおいて神と格闘した人間の魂の経験 — を忠実に表現している」というのが最も適切な賞賛かも知れません。

山中先代(筑紫野二日市)新生讃美歌ニュースレターNewSong 15号(2007)

Related Posts

最近の記事
  1. 「平和をあたえませ」と節ごとに歌う 新生讃美歌329「全能の神はいかずちも」

  2. キリスト者としての使命を求める歌、新生讃美歌645番「すべてをくださる恵みの神」

  3. 「慰めの(ケアーする)教会」(Caring Church)をテーマに 新生讃美歌「教会世にあり」

  4. イースターの賛美歌「キリストはよみがえられて、今生きておられる」新生讃美歌240番「救いの主はハレルヤ」

  5. キリストの十字架以外に、誇とするものはない 新生讃美歌235番「栄えの主イエスの」

  6. 福音讃美歌の中で親しまれてきた賛美歌 新生讃美歌230番「丘の上に立てる十字架」

  7. 「主によって召し出された民」を歌う賛美歌を求めて 新生讃美歌94「われらは主の民」

  8. 「善き力にわれ囲まれ」の作曲者 Fietz

  9. 詩篇に基づいた、ドイツの新しい賛美歌

  10. 美しい詞と音楽の調和~主への賛美への思いを導く 

記事一覧を表示するには、カスタム投稿「賛美歌解説」にて、4つ以上記事を作成してください。

オーディオプレイヤー
投稿が見つかりませんでした。

収録曲一覧カテゴリー

TOP
error: この記事は保護されています