新生讃美歌493番「み子イエス世人のため」
「わたしが生きているので、あなたがたも生きることになる。」(ヨハネ14:19b)
ビル・ゲイサー(Bill Gaither, 1936〜)とグロリア・シッカル(Gloria Sickal, 1942〜)は、インディアナ州アンダーソン大学卒業後、故郷のアレグザンドリアの同じ高校で、ビルは英語、グロリアはフランス語を教えていた。やがてビルとグロリアはゲイサー・トリオを組み、地域の教会で奉仕し始めた。二人は1962年に結婚し、1967年には高校を退職して音楽宣教の道を選びとる。ビルが作曲、グロリアが作詩、ビルの弟を加えてトリオで歌う形で、全米、そして世界的に有名になり、毎週1万人規模の賛美大会に招かれるようになった。
1964年に長女のスザンヌが、1969年には次女のエイミーが生まれた。三人目を授かったグロリアは、これまでに無い不安や心配を抱いていた。「この子は無事に育つだろうか。これから、どのような世の中になるのだろうか。」その時アメリカは、ベトナム戦争、麻薬、学園紛争、神の死の神学等で、困惑の時代を迎えていた。生まれて来る子どもにとって希望のもてる世相ではなかった。1971年に長男のベンジャミンが生まれた。
その子を腕に抱いた時「何と頼りない存在だろう」という思いと、「何と可愛く喜ばしい存在だろう」との思いが混じり合った。しかし、それ以上強く迫ったのは、「主は生きていらっしゃる。主が生きておられるので、この子も、又、生きることが出来る」という希望のメッセージだった。