新生讃美歌483「主と共に歩む」
作詞・作曲のサムシュル師は、1944年に厳格なイスラム教徒の家庭に生まれました。キリスト教は邪宗であると固く信じていたため、19歳の時、友人と共に教会を襲撃しに出かけましたが、汽車に乗り遅れそうになり、飛び乗ろうとして足を滑らせ両足に重傷を負いました。気がついた時は病院のベッドの上でしたが、すぐに輸血をしなければ命が危ないため、近くの大きなバプテスト病院で治療を受けました。
サムシュル師によれば、イスラム教徒は、預言者イエスは病気を癒すことができると信じており、イエスに癒しを祈りました。けれどもまだイエスが神の子であるとは信じていませんでした。病院で生まれて初めて聖書を開いて「あなたがたがわたしを選んだのではない。わたしがあなたがたを選んだ。」(ヨハネによる福音書15章16節a)を読み、彼はイエスに選ばれていたこと、そしてイエスに祈るなら罪が赦(ゆる)されると知り「イエスが神の子であると信じさせてください」と祈りました。そしてマタイによる福音書3章と17章に記されている「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」の聖句に導かれ、イエスが神の子であると信じ、その年にバプテスマを受けてクリスチャンになりました。
その2年後、神学校に入学し、卒業してからはインドネシア各地で伝道、牧会に従事してきました。このような使徒パウロさながらの救いと回心の体験の中でこの賛美歌が作られました。サムシュル師は1977年に日本バプテスト連盟女性連合の献金によって伝道用のバイクを購入し、長年愛用されていたそうです。その尊い宣教のお働きを終え2023年に天に召されました。
サムシュル師と野口日宇満師
文責:野口日宇満(のぐち・ひゅうまん/日本バプテスト連盟インドネシア派遣宣教師)