新生讃美歌200 諸人こぞりて
賛美歌 「Joy to the World! The Lord is Come(諸人こぞりて)」 は大いなる喜びを語る歌で、『共に喜び歌え、主を迎えて。主は正義と公正で全地を治める(裁く)ために来られた』と歌います(詩篇98篇8~9節)。
この賛美歌はクリスマスの時に最もよく歌われる賛美歌のうちの一つですが、イエス・キリストの誕生を歌ったものではありません。この歌詞はアイザック・ワットが詩篇98篇に基づいて書きました。この英語の歌詞は多くの言語に訳され、クリスマスにANTIOCHの曲で全世界で歌われています。しかし、このANTIOCHの曲で歌われ、最もよく知られている日本語の歌詞「諸人こぞりて」は、意味はよく似ていますが、アイザック・ワットが1719年に書いた「Joy to the World」の歌詞の日本語訳ではなく、フィリップ・ドッドリッジが1735年に書いた「Hark, the Glad Sound! The Saviour Comes」の歌詞の日本語訳です。この二つの賛美歌の言葉と意味はよく似ていて、どちらもほとんどクリスマスキャロルとしてしか歌われませんが、イエスの誕生についてのものではありません。ワットの歌詞は詩篇98篇に基づいていて、ドッドリッジの歌詞はルカによる福音書の4章18~19節でイエスが預言者イザヤ(イザヤ書61章1節)を引用した言葉に基づいています。ワットのオリジナルの歌詞には「The Messiah’s Coming and Kingdom(メシアの到来と王国)」、ドッドリッジの歌詞には「Christ’s Message(救い主のメッセージ)」というタイトルが付いています。どちらも、神の民が待ち侘びているキリストの再臨と御国の到来を歌ったものです。日本語訳はとても有名でほとんど全ての讃美歌集に載っていますが、両方のオリジナルの歌詞に含まれている「joy(喜び)」、「glad sound(喜びの音)」という言葉が日本語訳には含まれていないので日本語訳で歌うときは少し残念な思いです。
ローウェル・メイソンが編曲したこのANTIOCHの曲は「ヘンデルのメサイヤ」の抜粋に基いています。両方の曲がよく似ているので、「Joy to the World」と歌い出すとき、私たちは自然に「Lift up your heads」と心の中で歌ってしまうほどです。一番高い音から始まるこの簡単なメロディーは、「主がやって来られた!」という喜びの雰囲気を作り上げます。思わず「ハレルヤ!ハレルヤ!ハレルヤ、ハレルヤ、ハレルヤ!」と歌ってしまいそうです。
クリスマスには、イエスがこの地に人間としてお生まれになったことを喜びます。イエスが死なれ、復活され、今も生きておられることを喜びます。私たちは、イエスが公正と慰めと平和をもたらせるために来られたことを喜び、「Joy to the world, the Lord is come」、「Hark the glad sound, the Saviour comes」、もしくは「諸人こぞりて、いざ迎えよ」と歌います。私たちは、「主よ、御国が来ますように」と祈ります。
大谷レニー、翻訳:宇賀治潔 2010/11